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春雪 ~キミと出逢った季節 ~
第21章 来世の、来世で
「………!!」
……浜辺に打ちつける波の音と、空を舞う風の音。
だけど
それらを一瞬で掻き消すほどに、彼の声が響き渡った。
「……ユキ……?」
「言ったはずだよ、何度も。
何度も何度も…!」
「………!」
「あんたを、心から愛しいと想う度に
俺はちゃんと言葉にして伝えて……っ」
顔から引き離した、私の両手を乱暴に掴んで
ユキはそのまま強い力で、ぎゅっと握りしめてきた。
熱を帯びた、見たこともない鋭い視線。
……一瞬で体が固まる。
「本音を隠すことは、俺にとっては簡単なことなんだ。
本当の気持ちは、いくらだって閉じ込めることができる」
「……ユ、キ…」
「俺にとっての、大切な人達が笑顔になってくれるなら
自分の欲や想いなんて、どうでもいいんだよ…!」
「………っ」
「……姉貴が死んだ時から、ずっとそうだった。
それが正しいと思って生きてきたんだから……」