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春雪 ~キミと出逢った季節 ~
第21章 来世の、来世で
「……春ちゃん」
やっと私を見たユキが、溜息を漏らした。
「俺の話、聞いてた?」
「………」
「ちゃんと言ったじゃん。
信じてくれないの?」
「……ごめんなさい」
「………!」
「ごめんね、ユキ……」
掴んでいた手を離して、震える声でそう謝ると
ユキはじっと私を見つめて……小さく首を振った。
「違うよ、春ちゃん。
怒ってるわけじゃない」
「………」
「ただ、俺は…
……!」
……ユキの言葉の途中で
私は離した両手で、そっとユキの頬に触れた。
“ 雪斗は、もう長い間自分の本音を口にしてねぇんだ ”
「… “ 俺は ” …なに…?」
「………っ」
「言って、ユキ」
驚くユキを、真っ直ぐ見つめて
宝物に触れるように、私はユキの顔を包んだ。
“ 自分を後回しにして、周りの幸せばかりを願うから
欲しいものも、願いも、我慢しちまってる ”
「……春ちゃん」
「ユキ」
「春ちゃん、もういいから…」
「あなたの、心の声を聞かせてほしいの」
「………っ」
「ユキ、私は……」
「~~だから…っ」
「………!」
「……好きなんだよ!」