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春雪 ~キミと出逢った季節 ~
第21章 来世の、来世で
「イルカのショーの最前列に座ってるの、見えてたから」
「………!」
「おかしいだろ。
尾行してる人間が、なんで立ち見の俺と春ちゃんより前にいるんだよ」
~~えっ?
ど、どういうこと!?
少しムッとした表情で呟いたユキを、思わず二度見してしまう。
……遼くんも、水族館にいたの!?
「はは、バレてた?」
これまた正反対な明るい声で、遼くんは笑う。
「お前ほんと何者なの?
あれだけ激混みしてる中で、よく気付いたな」
「……あんた、すっげー目立ってたし」
「え、マジ? なんで?」
「何でって……」
身を乗り出した遼くんを、チラッと横目で見てから
心底呆れた顔でユキは息を吐いた。
「いい歳した “ 大人2人 ” が
あれだけリズムに乗って手拍子してたら、誰でも気付くよ」
「………!!」
「周りの子供、若干引いてたからね」
りょ、りょ、遼くんが……
口が悪くて、普段クールで感情を表に出さない遼くんが
……最前列で子供と一緒に手拍子!?
っていうか、大人 “ 2人 ” って……?