この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
春雪 ~キミと出逢った季節 ~
第21章 来世の、来世で
……くしゃくしゃと、遼くんに髪を揺らされたユキの瞳から
ひとつ、またひとつ
大粒の涙が、砂浜の上に落ちていく。
遼くんの鋭い目も、少しだけ潤んでいるように見えるけど
私はもう泣き過ぎて、ぐしゃぐしゃで
2人の姿が、涙で滲んでよく見えない。
「……春菜、雪斗」
ユキの頭から手を外した遼くんが
私の右手と、ユキの左手を握り締めた。
「初心に戻った俺の
本当の想いと、願いを聞いてくれるか?」
……更に強く、遼くんが私とユキを包み込む。
遼くんはゆっくり目を閉じて、息を吸った。
「……春菜と雪斗が、この先もずっと
この手を繋いで、寄り添って生きていってほしい」
「………!」
「今日1日、笑い合う2人を見て確信した。
相手を想う心の優しいお前達が、自分らしく生きて、幸せになれる相手。
それが春菜にとってのユキで、ユキにとっての春菜だ」
「………っ」
「……今、心からそう感じてるよ」