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春雪 ~キミと出逢った季節 ~
第21章 来世の、来世で
遼くんが、心から感じたと言ったように
……私の心にも、小さな灯が灯っている。
まるで雲間に光がさすように
ずっと残ったままだった痛みが、今すっと消えたように感じてる。
……きっとそれは
遼くんが本当の想いを伝えてくれたからでもあるし
何よりも……
“ 好きなんだ ”
“ どうしようもなく、春ちゃんを愛してる ”
「……ユキ……」
……遼くんに握られた方とは反対の手を、そっと伸ばすと
ユキはゆっくりと顔を上げた。
そして
涙が溢れた瞳を、遼くんに向けた。
「……義兄さんは、どうするんだよ」
「俺は、もう充分春菜に助けてもらったから」
「………!」
「エナジー補給されて、すっかり回復」
遼くんは、白い歯を見せて笑う。
「あの時、春菜に縋っちまって……情けなくてすぐに後悔したけど
でも今は、良かったと思ってる」
「………」
「誰かの温もりを感じると、1人じゃねぇんだって安心できるのな。
……長いこと忘れてた」