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春雪 ~キミと出逢った季節 ~
第21章 来世の、来世で
……今までで1番のいい笑顔で、遼くんは白い歯を見せると
ポケットから煙草を取り出して、口に咥えた。
「……孤独じゃねぇな、俺は」
「………!」
「春菜がいて、雪斗がいて
2人がいるから、俺は1人じゃない」
納得したように呟いた遼くんが
そのままカフェの方向へ戻ろうと、足を一歩踏み出すと
「……義兄さん!」
私の隣りで、ユキがその背中に向けて呼び止める。
「あんたがこれからどう生きていっても
俺は、一生あんたの弟だからな」
「………!」
「春ちゃんも俺も……義兄さんのこと、ずっと好きだよ。
なんなら、休日は全部あんたにくれてやったっていい」
「………っ」
「義兄さんが呆れて、嫌がるくらいに
この先もずっと、ずっと……傍にいるから……!」
……最後はその声が掠れてしまっていたから
私はユキの右手を、強く握りしめた。
私の心の声を、言葉にして遼くんへ伝えてくれたユキを
強く、強く握りしめた。
「雪斗」
足を止めて、遼くんは振り返ると
「……生意気なこと、言ってんじゃねぇよ」
煙草の煙を浮かべて、ふっと微笑んだ。