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春雪 ~キミと出逢った季節 ~
第21章 来世の、来世で
……遼くんのせいで、またしても空気が変わってしまった。
だけど、その笑顔につられて
私も、ユキも……頬が緩んでしまう。
「じゃ、俺はそろそろ帰るわ」
「………!」
「言いたいこと言えたし、見たいもんも見れたし。
聞きたいことも聞けてスッキリした」
そう言いながら立ち上がった遼くんは、服に付いた砂を手で払って
首をコキコキ鳴らすと、私に視線を向けた。
「春菜、明後日の月曜朝一で会議だから。
遅刻するんじゃねぇぞ」
「………!」
「ひとつプラスで任せたい案件があるから。
この前の企画書、用意しておいて」
いつもの、会社の先輩としての遼くんの顔。
彼は凛とした表情のまま、今度はユキを見下ろす。
「雪斗、お前もうすぐ夏休みだろ。
どうせヒマしてんだろうし、何日か付き合えよ」
「……え? 付き合うって、どこに?」
「まずは国内。
羽田から関空まで、飛んでみようぜ」
「………!」
驚いて目を見開くユキを見て、遼くんは口角を上げた。
「お前と一緒なら、克服できそうな気がする」
「………っ」
「ちゃんと、未来を見据えて……出来ることから、変えていこう」