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第3章 「許さない！」

「ううっ……」

　イキンュバスが呻く。一瞬、自分の触り方が悪かったのかと心配する。

「大丈夫だ、続けてくれ……伝わっているよ、そなたの愛は。ありがとう、退魔師の娘よ」

　そう言われると悪い気はしなかった。詠の手は次第に大胆に肉棒を撫ぜはじめる。

「どう……これで良いの？」

「ああ……ああ、気持ち良い。そなたの手は羽毛の如き撫ぜ心地だ。もっと根元から……そう、睾丸も、両手を使って竿と同時に」

「こう？」
「そうだ！　ああっ！　ヨミ！」

　悦情を滲ませた声で名を呼ばれると不思議と心が熱くなる。普段は魔を討つそのしなやかな指先が、同じ優美な動きで魔物の肉棒を愛しげにあやしていた。インキュバスの悦びの喘ぎが詠の気持ちを徐々に高めていく。

「ヨミ……口づけを……そこにも……どうか愛の証を……」

　切なげな声色でそう言われれば、応えずにはいられなくなっている自分がいた。

（でも……でも、そんなこと……ペニスに口をつけるなんて……）

　普段考えたこともないはしたない行為だ。

「ヨミ、どうした？　愛の証を与えてはくれぬのか？」
「愛……」
「そう。これは気高い愛の行為なのだ」

　インキュバスの赤い瞳が詠をじっと見つめ返す。そうされると、不思議と汚らわしい恥ずかしい行為だと思っていたことが、まったく逆のように思えてくる。