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BLACK WOLF~crime~
第4章 海ノ魚
…でも、本当に危険なのは夜道じゃなくてアパートに着いてからだ。

「あの、ありがとうございました…」

「相沢さん!」

意を決し車から降りようとドアノブに手を伸ばした時に聞こえた、運転席に座る桜木さんの声。

「はい?」

「何かあったらいつでも頼ってね。これ」

そう言って桜木さんはニコリと笑い、私に小さく折り畳んだメモ用紙を手渡した。

よくわからずそのメモ用紙を受け取った。

…これは?


「相沢さんは俺の妹でしょ?」

…妹?

私が桜木さんの妹?

今手渡された手の中のメモ用紙を見てみると





080-1234-xxxx

○○Mail@xx●●.jp

桜木 弘志お兄ちゃんより(^_^)v





「あの、これ…」

そこに書かれてたのは、桜木さんの電話番号とメールアドレス。

「いつでも頼ってね。可愛い妹の為なら大歓迎!」




その台詞に思わず体中の血液が顔に集まったかのように熱い。

と、同時に心の中がくすぐったく、けれどとても幸せな気持ちが産まれた。

私が…、桜木さんの妹…?

嘘でも、私にお兄ちゃんが…?

その顔を桜木さんに見られたくなくて…

「あ、あの…あ、ありがとうございましたっ!」






…バンッ







私にお兄ちゃん?

嘘でも、私にお兄ちゃんが…?

少し、気持ちがくすぐったい。












…クスッ

「またね、俺の切り札ちゃん…」















何だか妙に恥ずかしくて、ろくなお礼も出来ないまま車を飛び出して小走りにアパートへと急いだ。

込み上げる笑顔を抑え切れないままに、アパートへと走る。




でも、こんなに急いで帰ったところで黒埼さんがアパートにいたら?

急いで帰ったところでしょうがない。

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