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BLACK WOLF~crime~
第4章 海ノ魚
それにしても、黒埼さん
帰るなら鍵ぐらいして欲しかったけど、鍵をされたら私も入れなくなってしまう。
鍵すら持って出てなかったし、それに黒埼さんだって私の部屋の鍵は持ってないし。
まぁ、この部屋に金目のものなんてないし、取られて困るものもない。
真っ暗な部屋で靴を脱ぎ部屋の中へと入った。
手探りで部屋の電気を探そうと右手で壁をなぞり探す。
…早く仕事を探さなきゃ。
それに、ハルちゃんに電話もしなきゃ。
今は黒埼さんのことを考えてる暇はないし、今はやらなきゃならないことが沢山━━━━━━
電気のスイッチを探そうと
壁に伸ばした手。
パタパタと動かす右手。
暗闇の中で必死に動かす手に、触れた何か━━━━━━━━。
「………………っ!!」
誰もいない部屋にホッとしたのか、玄関周りの気配に気づけなかった。
「……………あっ」
電気のスイッチを探す手に何かが触れた瞬間、驚きの余り手を引こうとしたが、その手はその"何か"にグッと握られてしまい
「……く、くろ…」
闇の中のその気配に、背筋が凍った。
この気配、知ってる。
間違うはずがない。
暗闇の中で光るような、射るような目に気づいたときにはもう遅かった。
体が、一気に震える。
「あ…、あ…」
もう叫び声すら出ない。
「俺が言った台詞を忘れたか?俺からは逃げられないと言ったはずだ」
暗闇に目が慣れてきて、ゆっくりゆっくりとその輪郭がはっきりしていく。
…狼。
……黒埼さん…。
「あ…、い、いや…っ」