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BLACK WOLF~crime~
第5章 兎ノ涙
行為を終えた黒埼さんは部屋に備え付けてあるガウンを羽織り、先程のアンティーク調の椅子に座りながら煙草をふかしている。
コンクリートを打ち付けただけのこの部屋に、あのお洒落な椅子は似合わないと思うが。
私は…、ベッドに寝転んだまま身動き1つ儘ならない状態。
好きで動かないんじゃなくて、動けないのだ。
あんなに激しく攻め立てられて、体中にまだ余韻が残ってる。
それに、鎖で固定されてた足と腕が痛い。
皮膚と関節がズキズキと痛んでいる。
「シャワーでも浴びたらどうだ?冷水かぶったまんまじゃ風邪引くぞ?」
…その冷水をぶっかけたのはどこの誰よ?
確かに全身びしょ濡れで少し肌寒い。
けれど、余韻と痛みでまだ動けそうになかった。
「後で、入ります…」
「はぁ…、だったら今だけ服を着てろ。んな格好じゃ本当に風邪を━━━━━」
ここに着いてすぐに黒埼さんに脱がされてしまった下着と衣類が床に散乱している。
私に手渡そうと黒埼さんが私の衣類を拾い上げると…
カサッと、ジーンズのポケットから折り畳まれたメモ用紙が床に落ちた。
私はそれに気づかずベッドの上で体中の痛みがおさまるのを待ってたが、そのメモ用紙は寄りにも寄って黒埼さんに拾われてしまう。
「……これは、何だ?」
「え……?」
又しても、黒埼さんの声に怒りが感じられた。
恐る恐る黒埼さんの方を見ると、私のジーンズと、そのポケットから落ちたメモ用紙に目を通してしまっていた。
「そ、それは…っ!」
あ、あれは…、桜木さんからもらった連絡先が書いてあるメモ用紙だ。
あんなもの見られたらまた変な誤解をされて、さっきみたいな事を…っ。