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BLACK WOLF~crime~
第5章 兎ノ涙
椅子にかけてある上着を着直すと、椅子に置いていた時計をはめ直し髪を掻き上げて適当にセットして足早に帰宅準備を始めた。
「あのっ、く、黒埼さんっ!?」
おかしい。
明らかにいつもの黒埼さんじゃない。
「ここの店長には話しは通してあるから帰るなら適当に帰れ。タクシーも呼ぶように伝えておく。腹が減ったならルームサービスでも取れ」
私の方を一切見ずに部屋から出て行こうとする。
…確かに、私は今すぐには動けないけど
でも、桜木さんの名前を見た瞬間に黒埼さんの態度が変わった。
いつもの黒埼さんじゃないし、明らかに動揺している。
ドアノブに手をかけた黒埼さんに、思わず聞いてしまった。
「桜木さんの事、ご存知なんですか…っ?」
「………っ!」
部屋を出て行こうとする黒埼さんの手と足が止まった。
…黒埼さんと桜木さんは、知り合いなの?
でも、まさか…、何で…?
何の関係なの…?
「知り合い、なんですね…?」
確信にも似た質問。
私もそうだけど、黒埼さんも嘘がつけない人だ。
私を騙し切れなかったみたいに。
「……お前が知る必要はない」
「く、黒埼さん…っ、待って!」
…バタンッ
私の声を無視して黒埼さんは重いドアの向こうに消えて行ってしまった。
1人残されたコンクリートの静かな部屋。
不気味な薄暗さのこの部屋で私はいろんな事を考えた。
黒埼さんと桜木さんが、知り合い?
でも、どうして…?
何の繋がりがあるの?
少なくとも桜木さんは黒埼さんの事をよく知らない。
"ネットで見た"ぐらいの話しか聞かされてないし、向こうもそんな素振りは見せてなかった。
じゃあ、どうして知ってるの…?
どうして黒埼さんが桜木さんを知ってるの…?
黒埼さん
黒埼さんは私に、まだ何かを隠してるの…?
「あのっ、く、黒埼さんっ!?」
おかしい。
明らかにいつもの黒埼さんじゃない。
「ここの店長には話しは通してあるから帰るなら適当に帰れ。タクシーも呼ぶように伝えておく。腹が減ったならルームサービスでも取れ」
私の方を一切見ずに部屋から出て行こうとする。
…確かに、私は今すぐには動けないけど
でも、桜木さんの名前を見た瞬間に黒埼さんの態度が変わった。
いつもの黒埼さんじゃないし、明らかに動揺している。
ドアノブに手をかけた黒埼さんに、思わず聞いてしまった。
「桜木さんの事、ご存知なんですか…っ?」
「………っ!」
部屋を出て行こうとする黒埼さんの手と足が止まった。
…黒埼さんと桜木さんは、知り合いなの?
でも、まさか…、何で…?
何の関係なの…?
「知り合い、なんですね…?」
確信にも似た質問。
私もそうだけど、黒埼さんも嘘がつけない人だ。
私を騙し切れなかったみたいに。
「……お前が知る必要はない」
「く、黒埼さん…っ、待って!」
…バタンッ
私の声を無視して黒埼さんは重いドアの向こうに消えて行ってしまった。
1人残されたコンクリートの静かな部屋。
不気味な薄暗さのこの部屋で私はいろんな事を考えた。
黒埼さんと桜木さんが、知り合い?
でも、どうして…?
何の繋がりがあるの?
少なくとも桜木さんは黒埼さんの事をよく知らない。
"ネットで見た"ぐらいの話しか聞かされてないし、向こうもそんな素振りは見せてなかった。
じゃあ、どうして知ってるの…?
どうして黒埼さんが桜木さんを知ってるの…?
黒埼さん
黒埼さんは私に、まだ何かを隠してるの…?