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BLACK WOLF~crime~
第6章 時ノ悪戯








『あ…、もしもし…、舞ちゃん?』

「あ…、おばさん…?」





受話器から聞こえて来たのはハルちゃんの声じゃなくて、ハルちゃんのお母さんの声。

ハルちゃんと私は家族ぐるみで仲が良かった。

私も小さい頃はよくお世話になったし、ハルちゃんに似てとても優しいお母さんだ。


それに、私とハルちゃんが東京に上京することになり、何かあった時の為に私の携帯番号をハルちゃんのお母さんに教えて置いたのだ。

でも、どうしてハルちゃんのお母さんが?

確かに私の番号は教えたけど、東京に来てから1度もかかって来た事なんかない。

今まで何のトラブルもなかったのだから。



「あの、どうしたんですか?」



けれど、そんな優しいお母さんの声が震えている。

即座に何かあったのだとわかった。




『あのね、うちの陽人、どこ行ったか知らないっ!?』

「え?…ハルちゃん?」

『5日ぐらい前から連絡が取れないの!会社からも無断欠勤してるって連絡が来て…』






ドクンッ


5日前って言ったら、黒埼さんとハルちゃんが私の部屋で鉢合わせした日だ。

ハルちゃんが私の部屋に来て、私の相談に乗ってくれてた日だ。

あの日から、ハルちゃんがいなくなった?




ドクンッ

ドクンッ





『舞ちゃん、何か知らないっ!?今までこんなこと1度もなかったのよ…。連絡もなしに突然いなくなるなんて…。何か事件にでも巻き込まれてるんじゃ…』


ハルちゃん…。

ハルちゃん…っ!


「あの、私…、5日前にハルちゃんに会いました…」

『本当っ!?あの子に…っ』

「あの…、でもその日は特に何もなくて…」




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