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BLACK WOLF~crime~
第10章 最後ノ恋
「手の届く所に置いとかねぇと、どこに行くかわかんねぇし」
別に、黒埼さんの側から離れる気なんかない。
離れられるわけもないし、逃げられもしないじゃない。
黒埼さんがやらかした大胆な目論みに空いた口が塞がらないでいる。
学校丸ごと動かしちゃうなんて…。
「だから、俺の手の届くところにいろ」
「…わかってますよ。っていうか、学校丸ごと買収したんじゃどこへも行けないじゃないですか」
「はっ、本当にお前は鈍感だな…」
「え…?」
気づくと車は、私のアパートのある街を通り過ぎ、都心からどんどん離れていく。
「あの、黒埼さん…、私のアパート…」
そう言いかけたが、窓を流れる景色に何だか見覚えがある。
都心から離れて、山への入口に向かう。
この道は、黒埼さんの邸に向かう道だ。
…黒埼さん、このまま私を連れて自宅に帰るみたい。
苦痛に感じた足場の悪いガタガタ道の振動も今は何だか懐かしい。
昔はムリヤリ連れて来られたこの道。
ムリヤリ車に乗せられて、否応なしに誘拐されて…。
ふっと見ると、あの時と同じ、凛とした黒埼さんの横顔が見えた。
こうやって見ると、凛々しい顔をしてるのにやることは本当にムチャクチャなんだから…。
なんて1人で思い悩んでいると…。
「お前はいつも鈍感で俺の気持ちに気づかねぇんだな」
「え…?」
「まぁ、俺も回りくどい言い方しか出来ねぇけど…」
別に、黒埼さんの側から離れる気なんかない。
離れられるわけもないし、逃げられもしないじゃない。
黒埼さんがやらかした大胆な目論みに空いた口が塞がらないでいる。
学校丸ごと動かしちゃうなんて…。
「だから、俺の手の届くところにいろ」
「…わかってますよ。っていうか、学校丸ごと買収したんじゃどこへも行けないじゃないですか」
「はっ、本当にお前は鈍感だな…」
「え…?」
気づくと車は、私のアパートのある街を通り過ぎ、都心からどんどん離れていく。
「あの、黒埼さん…、私のアパート…」
そう言いかけたが、窓を流れる景色に何だか見覚えがある。
都心から離れて、山への入口に向かう。
この道は、黒埼さんの邸に向かう道だ。
…黒埼さん、このまま私を連れて自宅に帰るみたい。
苦痛に感じた足場の悪いガタガタ道の振動も今は何だか懐かしい。
昔はムリヤリ連れて来られたこの道。
ムリヤリ車に乗せられて、否応なしに誘拐されて…。
ふっと見ると、あの時と同じ、凛とした黒埼さんの横顔が見えた。
こうやって見ると、凛々しい顔をしてるのにやることは本当にムチャクチャなんだから…。
なんて1人で思い悩んでいると…。
「お前はいつも鈍感で俺の気持ちに気づかねぇんだな」
「え…?」
「まぁ、俺も回りくどい言い方しか出来ねぇけど…」