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BLACK WOLF~crime~
第2章 森ノ蝶
━━━━━━━翌日。
窓のカーテンの向こう側。
空がゆっくりと明るくなって行く。
もう朝だ…。
あの後、職場ではなくて自宅まで送り届けてくれた黒埼さん。
帰りの車内の中でも会話なんて特になく、自宅に着いて車を降りるときも恋人らしいやりとりもなかった。
黒埼さんは私に何かを話しかけてたけど、私の耳には届いてなかった。
お昼休みの途中でいなくなり、午後の仕事をサボり、連絡も入れれないままになってしまった。
部屋に着き時計を見ると17:45。
…さすがにクビかな、と思いその日は何も出来ずに夜を迎えてしまったのだが
「痛…っ」
腰がズキズキ痛む。
腰だけじゃない、腕も足も、体中が筋肉痛のようにズキズキ痛い。
腕には手錠が食い込んだ痕がくっきり残ってるし、僅かだが出血したせいで瘡蓋まで出来てる。
体の痛みとその傷跡を眺めながら布団にくるまっていた。
ショックと痛みで結局一睡も出来なかった…。
眠ろうと目を閉じるといろんな思いが浮かんできて眠りに落ちることすら出来ないままでいたが…
朝の光が私を照らす。
日の光を浴びたせいか私の精神や頭の中が少しずつ覚醒して行く。
と、同時に昨日までの憂いやショックも消えて行く。
……昨日はショックのあまり何も出来ずにいたけど、連絡も入れずにサボるなんて社会人としてあるまじき行為だ。
いくら誘拐まがいの事をされたとは言え、職場に迷惑をかけた事には違いはない。