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BLACK WOLF~crime~
第2章 森ノ蝶


でも、よく考えたら私は黒埼さんのことをよく知らない。

趣味も休みの日に何をしてるのかも、何も知らない。

黒埼さんが話したがらないから私もなるべく聞かないようにはしてたけど、でも恋人なら知ってて当然の事を私は知らない。

会えても数時間だけで私の体を抱けばとっとといなくなる。

休みの日に外でゆっくりデートなんてしたことない。

私は本当に…、黒埼さんの恋人?











お昼休みのチャイムが響き、作業場の人達は機械や手を止めて食事に向かう。

「相沢さん、今日は手作り弁当?」

「いえ、今日は仕事に来る前にコンビニで買ってきました。桜木さんは?」

「俺はコンビニに買い出し。昨日と逆だね。じゃ、また後でね」


桜木さんって優しいな。

みんなは私と黒埼さんの事でヒソヒソと噂話してて妙によそよそしいのに桜木さんだけは変わらず笑顔で接してくれてる。

作業場を出ていく桜木さんの背中を見ながらそう思った。


私も作業場を出てロッカーのある更衣室へと向かった。

ロッカーの中に今朝買ったコンビニ弁当を入れておいたから。




……いくら働いて節約してるとは言えコンビニ弁当って高いしこう続いたんじゃ結構な出費だ。

明日からはちゃんと節約しなくちゃな。

他の社員さん達は既に食堂に向かっていて更衣室には私1人。

仲のいい友人がいないからこーいう時、少し寂しさを感じるけど…


そう思いながらロッカーの鍵を開けると





━━━━━━━━っ!!


「ひっ、きゃあぁぁぁぁっ!!」


ガタンッとおののき、その場に尻餅を付いてしまった。

「ど、どうしたのっ!?相沢さんっ!?ここ開けるよっ!?」




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