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BLACK WOLF~crime~
第2章 森ノ蝶
……黒埼さんが外でデートをしてくれないのはこーなることがわかってたから?
私への風当たりが強くなるから、だからずっと屋内のデートだけだったの?
でも、だったらどうして会社に電話なんかしたの?
電話なんかしたら私と付き合ってるってことがバレるかも知れないのに…。
どうして、こんなことに━━━━━━。
「ウジウジしてんじゃねぇよ、ブース」
え…?
どこからか聞こえた女性の声。
上から聞こえたみたいだけど、と頭上を見上げると…
バシャッ
「きゃあああぁっ!冷た…っ」
突如、頭上から降ってきた冷水と、足元にゴトンと落ちて来たバケツ。
…な、何なの?
何が起こったの…?
滴る水を拭いながらもう1度頭上を見上げると
「調子に乗ってんじゃねぇっつーの…」
「行こ行こ。あーはははっ!」
3階の窓から見えた人影。
私にバケツの水を被せて、罵声を浴びせるとその影はすぐにいなくなってしまい顔までは見えなかったけど
足元に転がるバケツを見て背筋が凍った。
いくら3階からプラスチックの軽量バケツだったとは言え当たり所か悪ければ大怪我だ。
大怪我ならまだしももしかしたら━━━━━。
「あ……ぁ…」
悲しいとか辛いとか、もうそんな感情すらなくなってた。
ただ、恐い。
嫉妬の嫌がらせに飽きたらず、今度は命を狙われてる。
私はわかってなかったのだ。
黒埼さんと付き合うということがどーいうことなのかを…。