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BLACK WOLF~crime~
第3章 蜘蛛ノ糸
「もう…、無理です…」
「な…っ」
言っちゃダメ。
でも、この一言を言ったら全てが終わる。
私は楽になれる…。
「黒埼さん、とは…」
ずっと私を守ってくれてた優しい狼。
でも、これ以上、私とこの人の差を見たくない。
埋まる所かどんどん広がって行く。
「黒埼さんなんか…大嫌い…」
もう、無理だ。
この人のやり方についていけない。
最初から無理だったんだよ…っ!
「もう、黒埼さんとは無理ですっ!これ以上、黒埼さんと一緒にはいられません…っ」
別れは涙で飾るものだと、誰かが言った台詞を思い出した。
今の私にはぴったりだ。
別れの悲しさからか黒埼さんへの怒りか、溢れる涙が止まらない。
「舞っ!」
━━━バタンッ
呼び止める黒埼さんを無視して私は着の身着のまま、鞄も持たずに部屋を飛び出した。
私の部屋なのに、私が出ていくなんておかしいけど…。
もう、黒埼さんとはやっていけない。
でも、頭の中に残ってるのは優しい黒埼さんの笑顔だ。
「だからだよ…。何もわかってねぇのはお前だ…」
黒埼さん…。
私は優しいあなたを愛してた。
空港で呼び止めたあの時から、私はあなたに心惹かれてたのに…。
「俺が…、どんな思いであのガキを…ちくしょ…っ」
さようなら、黒埼さん。