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BLACK WOLF~crime~
第3章 蜘蛛ノ糸

「だったら、何故…」

「え…?」



黒埼さんの手が、体が

私を追い詰める。



私の腕を掴み壁にドンッと叩き付けて、両腕で私を腕の中に閉じ込めてしまった。

…逃げ場がない。




「いっ…」

叩き付けられた背中が痛い。

気づくと黒埼さんの顔が私を見下ろしていて、その気配に私の体がビクビクと怯えている。


「黒埼さん…退いて下さ…」

「だったら何故、あのガキの前で泣いたっ!?俺にじゃなく何故あのガキに全てを話したっ!?」

「ガキ?…ハ、ハルちゃん…?」

「恋人なら、何故俺より先にあの男に助けを求めた…っ!?」




…黒埼さんの声、微かに震えてる。

けど、それは…、黒埼さんに話せなかった理由は…。


変な心配をかけたくなかったっていう気遣い?

私との関係をバラしたっていう怒り?



でも、それを差し引いても黒埼さんがハルちゃんにしてきたことはそう簡単に許せることじゃない。

「そんな理由で…、ハルちゃんを…?」

「そんな理由だと?」


そうだ。

…話したくても、黒埼さんはいつも私の側にいてくれないじゃない。

私の将来についても"つまらない"で片付けたじゃない。


そんな人に相談したところで何が変わるの?

今みたいに強引に全てを片付けようとするだけでしょ?

私の気持ちも考えずに━━━━━。


「私はあなたの人形じゃないっ!!」


ドンッと黒埼さんの体を押し返すと思いの外黒埼さんの体はバランスを崩し私の体から離れて行った。

黒埼さんの腕から解放されたみたいだ。


「てめ…」


私はこの人の人形じゃない。

私はこの人のやり方についていけない。

黒埼さんとは住む世界が違いすぎる。


思想も考え方も、立場も、何もかも━━━━━━。












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