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BLACK WOLF~crime~
第4章 海ノ魚
公園を出て、歩き始めて30分。
どんどん日が射してくる街通り。
桜木さんの後を付いて行き到着する頃には辺りはもう明るくなっていた。
周りにはスーツ姿で出勤する人や制服を着た学生さんがちらほら見られた。
「着いたよ」
桜木さんの声でふっと見ると、そこは5階建の綺麗なマンション。
うわぁ…、綺麗なマンション…。
工場の社員さんってそんなにお給料いいのかな…?
あたふたする私をよそにジョギングスーツを着たままの桜木さんの後を付いて行くと当たり前のようにそのマンションに入って行く。
「ここ、ですか…?」
「そ。入って」
集合ポストの前を通り抜けてエレベーターに乗り込み3階へ向かう。
どうしよう…。
黒埼さんへの当て付けっぽく付いて来ちゃったけど、本当にいいのかな?
迷惑じゃないかな?
チラッと桜木さんを見ると、何の心配もなさそうな顔でニコニコしてるだけ。
…この人は呑気だな。
私は突然の展開にドキドキしてるっていうのに。
チンッと言う音と共に3階に到着。
エレベーターのドアが開き桜木さんの後を着いていく。
「俺の部屋、角部屋だから音とか気にしなくていいから」
「あ、はい」
吹き抜けじゃないマンションの廊下。
更に桜木さんの後を着いていき到着したのは、南向きの1番端の角部屋。
ジャージのポケットから鍵を取り出してドアノブの鍵穴に鍵を差し込み右に回すと、カチャッと鍵が外れた。
「はい。遠慮なく入って」
ニコニコしながらドアを開け放ち私を招き入れてくれる桜木さん。