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BLACK WOLF~crime~
第4章 海ノ魚
…どうしよう。
今更ドキドキしてきた。
いくら何でも急な展開過ぎて心臓がドキドキしてる。
よく考えたら私、男性の部屋に入ったのなんてハルちゃんと黒埼さん以来だ。
こんな簡単に入ってもいいのかどうか。
「あの…」
でも、着いて来といてここでオロオロするのも悪いしな。
「どうしたの?」
「いえ、お邪魔します…」
おずおずと足を進ませた。
桜木さんと一緒に玄関で靴を脱いで中へと入っていく。
中は…、ハルちゃんのマンションとよく似た造りだ。
白い外壁に白の家具がたくさん。
廊下を歩き招き入れてくれたのは、広いリビング。
リビングには白のソファに机、テレビと大きな窓。
ちょっとした家具が沢山並んでいる。
そして、ふわりと香る花の香り。
この香り、どこから香って来るんだろう。
黒埼さんのバラとはまた違う、ジャスミンの香りだ。
「適当に寛いでて」
「ありがとうございます」
桜木さんに進められてとりあえずソファに座ったが、やっぱり落ち着かない。
心臓がドキドキしてる。
私がソファに座るのを確認すると桜木さんはどこかへ行ってしまった。
ジョギング後だし、シャワーでも浴びに行ったのかな?
寛いでてと言われてソファに座ったが、体がコチコチで寛げない。
落ち着かなくて思わず部屋の中をキョロキョロと見渡してみた。
綺麗な部屋だなぁ。
ハルちゃんの部屋も黒埼さんの部屋も綺麗に片付いてるけど、桜木さんの部屋も綺麗に整理整頓されてる。
…まぁ、黒埼さんの家はハウスキーパーさんがいるしあんまり家にいないし、使ってる部屋なんて限られてるから綺麗なのは当たり前か。
辺りをキョロキョロと見渡していると、あるものを見つけた。
テレビが置いてある棚。
テレビの横に置いてある数個の写真立て。
そのうちの1つ、よく見ると小さな男の子が30代ぐらいの男性に抱っこされてる仲睦まじそうな写真。