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BLACK WOLF~crime~
第4章 海ノ魚
受話器を耳に当てて、ハルちゃんの携帯番号をプッシュして…
プルルルル…、プルルルル…、プルルルル…、プルルルル…
受話器から流れる呼び出し音。
どうしよう、何て言おう。
これと言った言葉が思い浮かばないが、とにかくちゃんと謝らなきゃ。
呼び出し音と比例するように私の心臓音も大きくなる。
プルルルル…、プルルルル…、プルルルル…、プルルルル…、プルルルル…、プルルルル…
いくらコールしてもハルちゃんは出ない。
まだ、寝てるのかな?
それとも、知らない固定電話の番号だから怪しんで出ないのかな?
プルルルル…、プルルルル…、プルル━━━カチャと受話器を戻した。
ハルちゃん、もしかして怒ってるのかな?
いや、もしかしなくても怒ってるに決まってる。
何度も何度もハルちゃんを傷つけた私のことなんか…、恨まれて当然だ。
しかし、感傷に浸ってる場合じゃなく私にはもう1ヶ所電話しなくてはならないところがあった。
私はもう1度受話器を取り、ある番号をプッシュした。
…アパートに置いてきた自分の携帯番号。
確信はなかったが、もし黒埼さんが私の部屋で私を待ってるなら、このコールを取るかも知れない。
私を所有物みたいに扱ってたあの人の事だ、私の携帯に出るくらい何の意識もないだろう。
私の部屋には固定電話はないから連絡を取るとしたらこの携帯ぐらいだ。
プルルルル…、プルルルル…、プルルルル…、プルルルル…、プルルルル…
昨晩から鳴り続けてるイタズラ電話に紛れてこのコールにも気づかないかも知れないし、もしかしたらもうすでに仕事に出かけてるのかも知れない。
プルルルル…、プルルルル…、プルルルル…、プルルルル…、プルルルル…、プルルルル…、プルルルル…