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シミュレーション仮説 (旧作)
第5章 ある部屋。男が見つめるモニターの中で、美優が喘いでいる。
「はあ…こんな清純そうな子が、こんなふうになるんですねぇ」
「でも、彼女は幸せだったみたいだし、世の男は散々慰められただろうし、よかったんじゃないのか?」
「また無責任な」
「まあシミュレーター世界のことだからね」
「そうですね」

 若い男は、自分も好みの少女を作ってみようかと考える。

「しかし、あれですね」
「ん?」
「この子達は、自分が、シミュレーター内で作られた存在だってこと、知らないわけですよね」
「そりゃそうだ。気付くはずもないよ」
「…ということはですよ」

 若い男は、言葉を区切る。

「何だよ」
「僕達がいるこの世界も、もっと発達した世界が作ったシミュレーター世界の可能性だってあるわけですよね。
 もしかしたら、僕達の世界にも、そういう誰かが介入していたりして」

 若い男は何気なく言う。
 
 言われて男は、初めてその可能性に気付いたように、愕然と若い男を見つめた。
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