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第15章 シミュレーション世界の終焉

　ある日、世界が止まった。

　少女のスカートの裾を巻き上げたままの形で風は止まり、空に向かった噴水の滴は、永遠に落ちてこなかった。

　シミュレーター世界は停止された。

　理由は、増えすぎた人口と、広がりすぎた人類の行動範囲が、コンピューターを圧迫したためだ。

　理想の世界を実現するために、あらゆる手が加えられた結果、世界の総人口は三百億を超え、実世界の三倍以上に膨れ上がった。
　科学を発展させた人類は積極的に宇宙へ進出し、今までは「設定」としてそこにあるだけだった、遠くの星々までもが構築された。

　もともと超巨大なスーパーコンピューターに加え、一般ユーザーのパソコンともネット経由で接続され、その一部を借り受けることによって生まれた、膨大な容量と、圧倒的な処理速度によって支えられてきた世界だった。

　しかし、それでも追いつかないほど、世界は大きくなった。

　それは様々な歪みとして、世界中に影響を与えた。