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快楽の奴隷
第9章 約束
「お風呂上がったよー……」

花純はバスタオルで髪を拭きながら母親に伝える。
仕事場での清楚で真面目な顔でもなく、高梨の前で見せる危なげで艶のある女の顔でもない。
リラックスしきった表情をしたパジャマで素っぴんの油断しきった姿だった。

「ちょっと。花純」

にまーっと不審な笑みを浮かべた母親が花純に近寄る。

「な、なにっ?」

厳格な父と違い、お茶目な母がこんないたずらっ子のような顔をするのは珍しくはないが、いつもよりもテンションが高いために花純も構えてしまう。

「なに、じゃないでしょ。最近帰り遅いんじゃない?」
「え、英会話教室言ってるって言ったでしょ……」
「えーかいわねー……ふぅーん」

疑いの視線を浮かべた母は、悪戯っぽく花純の腕をぐいっと引っ張った。

「ひゃっ!?」
「本当は彼氏なんでしょ?」

女学生のようなテンションで詰め寄られ、花純は狼狽える。
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