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快楽の奴隷
第9章 約束
彼氏、といわれて当然花純の脳内に浮かんだのは高梨の顔だった。
しかし花純は高梨の彼女ではない。
彼の創作の情熱を燃やすために身を捧げる存在でしかなかった。
だが母親にそんなことを言えるはずもない。

「違うからっ……そんなんじゃないし」

真っ直ぐに母親の顔を見れない花純は、無意識のうちに視線を逸らして答えてしまう。
僅かな態度の変化で子供の悩みを見抜く。子供が何歳になろうが、親にはその力がある。

「自分が傷付く恋なんてしちゃダメだからね?」

緩やかに母親の顔に戻って静かに忠告した。

傷付く恋。
自分の恋愛はそんなレベルじゃないと胸が締め付けられる。
二人の男に責められたり、アナルまで弄らせてしまっている。

「……だからそんなんじゃないから」

『傷付く』なんてものじゃなかった。
それは身を破滅させるかもしれない恋だった。

「そう。ならよかった。花純は昔から賢いからね」

母は笑って娘の濡れた髪を撫でる。
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