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快楽の奴隷
第9章 約束
今日が最後でよかった。
花純はモノクロ写真のような穏やかな海を見詰め、心の中で呟いた。
身体も心も脳もとけるような激しい恋だったが、最後は穏やかに、普通の恋人同士のように過ごせた。
それがなんだか嬉しかった。
未練がない訳ではない。
しかしこの関係をいつまでも続けられるものでもないことも分かっている。
「あのね、高梨さん」と花純が切り出すよりも一秒早く、高梨の口が開いた。
「花純は実家暮らしだったよね……」
「え、あ、はい」
高梨は優しく花純の肩を抱く。
「実家を出る気はない?」
唐突の質問の真意が分からず、花純は水槽から上げられた金魚のように虚ろな目をして、高梨の横顔を見詰めた。
「もし迷惑じゃなければ……俺の持ってるマンションに引っ越さないか? もちろん家賃はいらない」
「えっ……?」
予想もしなかった提案は花純の思考回路を焼き切る。
花純はモノクロ写真のような穏やかな海を見詰め、心の中で呟いた。
身体も心も脳もとけるような激しい恋だったが、最後は穏やかに、普通の恋人同士のように過ごせた。
それがなんだか嬉しかった。
未練がない訳ではない。
しかしこの関係をいつまでも続けられるものでもないことも分かっている。
「あのね、高梨さん」と花純が切り出すよりも一秒早く、高梨の口が開いた。
「花純は実家暮らしだったよね……」
「え、あ、はい」
高梨は優しく花純の肩を抱く。
「実家を出る気はない?」
唐突の質問の真意が分からず、花純は水槽から上げられた金魚のように虚ろな目をして、高梨の横顔を見詰めた。
「もし迷惑じゃなければ……俺の持ってるマンションに引っ越さないか? もちろん家賃はいらない」
「えっ……?」
予想もしなかった提案は花純の思考回路を焼き切る。