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第12章 『嗤う人形』

オイルにしっかりとにんにくの香りが移ったところでみじん切りにしたその他の野菜を入れる。
ここから十五分間、ゆっくりと野菜を炒める。
野菜の香りや旨みを引き出すためだった。
青々しい野菜がしっとりと茶色に色付く。
そこへ挽き肉を入れる。
その上に軽くナツメグと塩コショウを振りかけた。
あまり解さず塊のまま焦げ目を着けてやるのが重要だった。
しっかりと焦げ目がついてから赤ワインを注ぎ、強火でアルコールを飛ばした後にトマト缶を入れ、同量の水を注ぐ。
花純はそこに砂糖をやや多目に入れた。
本来なら入れるものではないが、トマトのえぐみは砂糖によって弱まるからだ。
ローリエを一枚落とし、蓋は閉めずに三十分間、弱火で煮込む。
十分が経過したところで味を見てからローリエを取った。
『少し塩味が足りないかも？』
塩を降って更に二十分煮込むと、とろみをつけたミートソースが出来上がった。

スプーンで掬い、味をみる。

「ん。美味しい」

満足のいく味に頬が緩んだ。