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快楽の奴隷
第12章 『嗤う人形』
愛する人に料理を作っていると、食べて貰った時の笑顔が頭に浮かぶ。
高梨はボロネーゼが好きだということを知った花純は、必ず作ってあげようと心に決めていた。
あとは高梨が来てからパスタを茹で、ソースに生クリームを足して絡めた上にチーズを振りかければ完成だ。
時計を見ると七時半を回ったところだ。
予定の時間だったが、彼が来る気配はない。
約束の時間通りに来る方が珍しい高梨のことだから花純はさほど気にした様子もなかった。
しかしテーブルの上に置かれた嗤う人形の表紙を見ると、胸の奥がムズムズとしてしまう。
もし、高梨さんがこのまま来なかったら……
そんな不安が過る。
夏の終わりの夜空は湿気を孕んで辺りを鈍色に染めていた。
「雨、降るのかな?」
ベランダから街の灯りを見下ろし、花純は小さく呟いていた。
高梨はボロネーゼが好きだということを知った花純は、必ず作ってあげようと心に決めていた。
あとは高梨が来てからパスタを茹で、ソースに生クリームを足して絡めた上にチーズを振りかければ完成だ。
時計を見ると七時半を回ったところだ。
予定の時間だったが、彼が来る気配はない。
約束の時間通りに来る方が珍しい高梨のことだから花純はさほど気にした様子もなかった。
しかしテーブルの上に置かれた嗤う人形の表紙を見ると、胸の奥がムズムズとしてしまう。
もし、高梨さんがこのまま来なかったら……
そんな不安が過る。
夏の終わりの夜空は湿気を孕んで辺りを鈍色に染めていた。
「雨、降るのかな?」
ベランダから街の灯りを見下ろし、花純は小さく呟いていた。