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第13章 ミューズ

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初めて『嗤う人形』を読んだ時、歪みながらも真っ直ぐな恋の物語にうっとりとした。
しかし今の花純は不安と嫉妬がとぐろを巻いて胸の奥に留まっていた。

他の高梨の作品と比べ、この作品は明らか異彩を放っていた。
彼の想いや青臭さや情熱が強く漂っている。

従妹の中に初めて射精をしてしまうシーンを読んだ花純は、涙でそれ以上文字を終えなかった。
そして彼女の中には敵のいない対抗心が芽生えてしまう。

嗤う人形を越える名作を生む力になる。
それが彼女の心を突き動かす力となっていた。