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第14章 下卑た文学

『玄関先でオナニーしちゃった……』

燃え盛るような発情が抜けた花純は今さら恥ずかしくなってしまう。
鏡にはだらしなく脚を広げた姿が映し出されていた。
照れながら脚を揃えて閉じ、そのままそこに横たわる。
そしてまた高梨が作家として成功を収めた嬉しさが込み上げてくる。
高梨の紡ぎ出す小説の素晴らしさが多くの人に分かって貰えることが、何よりも嬉しかった。

しかしその幸せに二週間後、冷水が浴びせられることとなる。


読書愛好家くらいしか読まないとある本の雑誌。
それを書店で見掛けた花純は手を震わせながら書評記事を読んでいた。

『なに……これっ……』

彼女が目を見開いて読んでいるのは、高梨の話題作『湖畔を抜けて森の中へ』について評論家が書いた記事であった。