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快楽の奴隷
第14章 下卑た文学
「気にするなって……高梨さんは悔しくないんですかっ!!」

憤りを噴出させながら花純は顔を上げる。

「悔しいさ、そりゃ」

微笑みを絶やさぬまま、高梨が答えた。

「花純をこんなに悲しませる記事を書いた奴は……憎いよ」
「高梨さんっ……」
「やっぱりこの本は出すべきじゃなかった」

高梨は慚愧の念をその一言に籠め、すぐに微笑みに戻った。
傷口を舐めるように優しく彼女の頭を撫でる。

「そんなこと……ありません……」
「出さなければ花純が悲しむことはなかった。違うか?」
「……違います」

二人の視線は様々な感情を孕み、熱を帯びるように絡んでいた。

「この作品が発表されて……沢山の人が高梨さんの本を読んで……とっても嬉しかったから……」

花純の純粋な喜びを告げると、高梨は小さく頷く。



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