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快楽の奴隷
第14章 下卑た文学
「それでいいだろ? こんな評論家が何を言おうが沢山の人が俺の作品を認めた。それで充分だ」
「けどっ……こんなこと言われて悔しいですっ!!」

高梨の大人すぎる対応は花純の感情を逆撫でしてしまう。

「じゃあどうする?」

興奮する花純に高梨は優しく諭す声で訊ねる。

「この評論家を訴えるか? 雑誌の出版社に抗議するか? それとも反論の記事を出すか?」

彼女も少し冷静さを取り戻し、高梨の言葉を脳内で反芻出来た。

「無意味だろ? そんなことしたところで意味はないんだ」
「それでも……悔しい……」
「作家なら言いたいことは作品に籠める。それしか方法はないんだ。そしてそれが最大の武器となる」

高梨の瞳には強い意思が滲み出ていた。
その眼光を向けられ、花純は身体がざわざわっと粟立った。

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