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快楽の奴隷
第15章 求めすぎる心
「どんなって……」
無理に笑おうとして、それを諦めた重い表情を浮かべ、グラスをテーブルに置いた。
花純の真剣な眼差しに嘘やごまかしは出来ないと覚悟を決めた。
ふんっと鼻から脱力したため息を吐く。
「死んだよ、宏世は……」
ポツリと一言、彼は答えた。
花純に驚きはなかった。
予想していた中で最も悪い答えだったが、最も可能性が高いと思っていた答えだったから。
「俺が殺した……ようなものだ」
『のようなものだ』付け加えたのは責任を逃れたいからではなく、事実が分からないからだ。
しかし見苦しく付け加えてしまった自分に、高梨は自嘲する。
その笑みは花純の心を抉った。
愛しい人が十年以上そのことに苦しめられている。
それは錆び付いた刃物で身を斬られるような、耐え難い痛みだった。
高梨に頬を拭われ、花純はようやく自分が涙していたことに気付く。
無理に笑おうとして、それを諦めた重い表情を浮かべ、グラスをテーブルに置いた。
花純の真剣な眼差しに嘘やごまかしは出来ないと覚悟を決めた。
ふんっと鼻から脱力したため息を吐く。
「死んだよ、宏世は……」
ポツリと一言、彼は答えた。
花純に驚きはなかった。
予想していた中で最も悪い答えだったが、最も可能性が高いと思っていた答えだったから。
「俺が殺した……ようなものだ」
『のようなものだ』付け加えたのは責任を逃れたいからではなく、事実が分からないからだ。
しかし見苦しく付け加えてしまった自分に、高梨は自嘲する。
その笑みは花純の心を抉った。
愛しい人が十年以上そのことに苦しめられている。
それは錆び付いた刃物で身を斬られるような、耐え難い痛みだった。
高梨に頬を拭われ、花純はようやく自分が涙していたことに気付く。