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快楽の奴隷
第17章 闇と光
「覚悟は出来てます」

花純は真っ直ぐに立山を見詰めた。
命すら投げ出せる。
そんな決意を彼女の瞳の中に感じさせた。

「あんたは求め過ぎたんだよ……高梨に」

ソファーに背中を押し付けるように伸びをしながら立山は語り出す。

「求め過ぎる……」
「ああ……求められれば奴は応えようと必死になる……それだけ惚れてるんだろうからな、花純に」

まだ話の結末は見えてこない。けれど緊張で彼女の手は固く握られ、膝の上に置かれていた。

「女に求められ、男がそれに応えようと奮起する……それは悪いことなんかではなく、むしろ世の中を動かす最大の力と言っていいだろう。人類、オスしかいなかったらきっと我々はまだ木にぶら下がり服も着ない猿の一種だ」

そこまで言うと立山はテーブルに置かれていた皿に盛られたクルミを二つ取り、手の中でカチカチと音を立てて弄ぶ。
その音に彼女は言い知れぬ居心地の悪さを感じる。

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