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快楽の奴隷
第17章 闇と光
「なるほどな」

ビールを飲み干した立山は無表情のまま、手の中でパリパリっと音を立ててアルミ缶を潰した。

「どうすれば高梨さんが元の状態に戻ってもらえるのか……分からなくて……」
「なんで俺にそんなこと相談するんだ?」

獅子は太めの眉を歪ませて笑う。

「それは……高梨さんと同じ香りのする芸術家だからです……」
「ヘェ……俺があの変態作家先生と同じ匂いねぇ……」

心外だと言わんばかりの声だったが、顔は嬉しそうに笑っていた。

「辛いんですっ……高梨さんが自分を失ってしまうんじゃないかと思うと……苦しくてっ……」

痛みを堪えるように唇を噛む。
白くなるほど強く噛んだ唇に彼女の苦悩が表れていた。

「答えは簡単だ……けどあんたにそれが出来るかな?」

立山は獲物を捕らえる獣のように冷たい笑みを口端に浮かべ、花純を見詰めた。
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