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快楽の奴隷
第17章 闇と光
しかしその覚悟も、立山に言わせればまだ甘かったのかもしれない。
「高梨を作家として奮い立たせたいならば----」
立山の告げたその一言に、花純は血の気が引いた。
「そんなっ……」
ソファーに座っているのにも関わらず、彼女は倒れそうになる。
心がズブズブと泥濘に沈んでいくかのような錯覚を覚えた。
「大丈夫か?」
「…………はい」
答えとは真逆の、とても大丈夫とは思えない様子にさすがの立山も心が痛む。
「もちろんこれは花純が高梨に作家として更なる飛躍を望むのであれば、だ。無理にする必要はない」
「……はい」
彼女も立山の言葉を頭の中でもう一度反芻する。
そして残念ながらそれが立山の言う通り、有効であることを認める。
「ここまで言っておいてこんなこというのは何なんだけどな……俺としては高梨が書けなくなることも決して悪いことだとは思わない。いや、むしろあいつも贖罪をやめて安らかに暮らすべきだと思っている」
共に戦ってきた戦友に想いを馳せる立山の表情にも、拭いきれない過去を思わせる憂いがあった。
「どうするかは、花純。お前が決めるんだ……」
絵師の言葉に花純は無言でゆっくりと頷いた。
「高梨を作家として奮い立たせたいならば----」
立山の告げたその一言に、花純は血の気が引いた。
「そんなっ……」
ソファーに座っているのにも関わらず、彼女は倒れそうになる。
心がズブズブと泥濘に沈んでいくかのような錯覚を覚えた。
「大丈夫か?」
「…………はい」
答えとは真逆の、とても大丈夫とは思えない様子にさすがの立山も心が痛む。
「もちろんこれは花純が高梨に作家として更なる飛躍を望むのであれば、だ。無理にする必要はない」
「……はい」
彼女も立山の言葉を頭の中でもう一度反芻する。
そして残念ながらそれが立山の言う通り、有効であることを認める。
「ここまで言っておいてこんなこというのは何なんだけどな……俺としては高梨が書けなくなることも決して悪いことだとは思わない。いや、むしろあいつも贖罪をやめて安らかに暮らすべきだと思っている」
共に戦ってきた戦友に想いを馳せる立山の表情にも、拭いきれない過去を思わせる憂いがあった。
「どうするかは、花純。お前が決めるんだ……」
絵師の言葉に花純は無言でゆっくりと頷いた。