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快楽の奴隷
第17章 闇と光
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山肌に沿った新幹線の駅のほど近くにあるホテルのロビーで花純は高梨を待っていた。
ボーダー柄のリブニットにミモレ丈のグリーンのスカートを穿き、落ち着いた中にも可愛らしさを感じさせるスタイルであった。
鏡面の壁の前で何度もそわそわと服装をチェックする。
今日の姿を高梨のまぶたに焼き付けて欲しい。そう願っているからだ。

「もう来てたんだ」

約束の時間の十分前に高梨がやって来る。
彼が時間より早く来るということも、これまではあまり考えられないことだった。

「高梨さんこそ早かったですね。約束の十分前ですよ?」

花純は満面の笑みを愛しい彼に向けた。

「今日はいきなり手厳しいな」
「いつもが優しすぎるだけですから」

わざとらしさが気取られない程度にはしゃぎ、するりと高梨の腕に身体を絡ませる。
紺のブレザーに白いシャツ、ベージュのパンツ。高梨がいつも好むスタンダードで落ち着いた上質のファッション。
花純もその高梨の姿を自らの網膜に焼き付ける。

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