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快楽の奴隷
第17章 闇と光
人の心に感動や興奮、安らぎや楽しさを与えるのが芸術ならば、性的体験ほどの芸術は存在しない。
ただそれはかたちに残らず、そして個人的で主観的なもののため普遍的なものではない。
そんな二人だけで創り上げる芸術が、セックスだ。
それをせめて文字で残すために高梨は官能小説を書いている。

「ああっ……っ!!  かすみっ……」

破れるほど強く尻を掴んだ高梨が呻き声を漏らす。
彼の眉間にシワを寄せた悶貌が窓に映り、それを見た花純も興奮が高まる。
『気持ち良さそうな顔……私を味わう、高梨さんの顔……』
女としての優越感が性感を一層甘く深いものに変えていく。
腰の動きは激しい抜き差しから、押し付けて回すものに変わっていた。
ダンスを踊るような緩やかで、けれど情熱的な動き。
押し付けられた先端は花純の奥頸部を撫で回す。

「っはぁ……」

熱い湿気を孕む吐息が肺の奥から漏れた。
撃たれてすっかり熟したポルチオが、至福の安らぎに満ちた心地を味わせてくれる。
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