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快楽の奴隷
第18章 なくして、得るもの
「さあね? そんなこと、誰にも分からないよ」

敢えて冷たく突き放すのは心が悼んだが、今は自分が冷静になるしかない。
鈴子は冷静に花純に語りかける。

「世の中には二つの後悔しかないって言うでしょ? 何であの時こうしなかったんだろうという後悔と、何であの時こうしてしまったんだろうという後悔」

花純の涙で充血した目は真剣に親友を見詰めていた。

「花純の決断は今すぐ答えが出ないと思うよ。ううん。いつまで経っても答えは出ないかもしれない」

鈴子の瞳も花純の瞳を捉えて離さない。

「その答えを出せるのは、結局は花純しかいないんだよ……」
「私が……?」
「そう。花純が自分で自分の決断を誉めてやるしかない。たとえ望んでいなかった方に結果が向かってしまっても、自分の判断は間違っていなかったと、自分に言い聞かせてやるしかないの」

結局人生には正しいも間違いもなく、自分がどう受け止めるかしかない。
鈴子は花純に前を向いて生きて貰いたかった。
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