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快楽の奴隷
第18章 なくして、得るもの
「ごめんごめん。けど出逢いはまだまだあるって言いたかったの」

笑って流そうとする鈴子に、花純は鋭い視線で噛み付く。

「そっちじゃない。官能小説を馬鹿にしないでって方」

冗談を言ってるわけじゃないのは顔を見ればわかった。

「そっちなの? ごめん。私、官能小説ってちゃんと読んだことないから分からなくて」
「じゃあ読んでみて」

そう言うなり花純は鞄から『湖畔を抜けて森の中へ』を取り出す。
それだけは肌身離さず持ってた親友に鈴子は飽きれ混じりの笑顔を漏らさずにはいられなかった。

「本当にあんたって子は……」

保護者ぶって茶化すと花純は顔を赤らめる。

「じゃあありがたく読ませて貰うから」

花純の性体験が描かれたその書物は、読みたくないような、読みたいような、言葉で言い表せない興奮を鈴子に与えていた。

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