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第18章 なくして、得るもの

『或る愛のかたち』は事故で視力を失った小説家の物語だ。
自暴自棄になる作家を世話する為にヒロインが家政婦としてやって来るところから始まる。
つまり作家はヒロインの顔を全く知らない。
三人称で書かれてはいるが、作家の視点で描かれているためにヒロインの容姿についての描写はない。

作家の異常な性格にはじめは戸惑うヒロインだったが、彼の小説にかける情熱に心を動かされ、次第に惹かれていく。
作家も家政婦の気持ちに安らぎを得ていくが、逆に相手の気持ちが本物か偽りか分からずに荒れてしまう。
もちろん官能小説だから激しい性描写もふんだんに描かれている。
身体に噛みつきながら交わる性交や、不浄の穴で繋がる情事は花純との行為をモデルとしていることは間違いなかった。

時に泣き、時に笑い、催せば恥部を弄り、心と身体の全てで小説を愉しむ。