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快楽の奴隷
第19章 快楽の奴隷
「……花純。食べないと駄目だよ」
朝配膳した時と配置も量も変わっていない膳を下げ、夕食を並べる。
鈴子の語りかけはまるで独り言のように虚しく空に響くだけであった。
さすがに涙は止まっていたが、ここ二日間、花純は何も口にしていない。
高梨の訃報を知った時の彼女の取り乱し振りは、本当に精神に異常を来したのかと思ったほどだった。
一晩泣いてさすがに少しは落ち着きを取り戻したが、一切食事を摂らずに虚ろな視線を宙に浮かべて動かなくなってしまった。
まるで断食をして死を迎えようとするような態度に鈴子は心配を募らせていた。
『何があっても自分の選んだ選択は間違っていないと思うことが大切』などという言葉は既にかけられる状態ではなかった。
「花純……」
膝を抱えた姿勢の花純の隣に座り、小さく声をかける。
身動ぎひとつしない彼女は聞こえているのか、いないのか、まるで分からなかった。
朝配膳した時と配置も量も変わっていない膳を下げ、夕食を並べる。
鈴子の語りかけはまるで独り言のように虚しく空に響くだけであった。
さすがに涙は止まっていたが、ここ二日間、花純は何も口にしていない。
高梨の訃報を知った時の彼女の取り乱し振りは、本当に精神に異常を来したのかと思ったほどだった。
一晩泣いてさすがに少しは落ち着きを取り戻したが、一切食事を摂らずに虚ろな視線を宙に浮かべて動かなくなってしまった。
まるで断食をして死を迎えようとするような態度に鈴子は心配を募らせていた。
『何があっても自分の選んだ選択は間違っていないと思うことが大切』などという言葉は既にかけられる状態ではなかった。
「花純……」
膝を抱えた姿勢の花純の隣に座り、小さく声をかける。
身動ぎひとつしない彼女は聞こえているのか、いないのか、まるで分からなかった。