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快楽の奴隷
第20章 エピローグ
険しい表情でそう語るが、花純は知っていた。
この間高梨の書斎を掃除したとき、ゴミ箱に書きかけの官能小説の原稿を幾つも捨てていたことを。
しかしそう簡単に彼が考えを曲げないことは知っている。
そんな高梨を奮い立たせる作戦を花純は用意していた。

「書き尽くしてないですよ、まだ。官能小説は奥が深いんです!!」

花純は高梨の眼前に人差し指をピンっと立てて突き出す。

「ほう……知ったような口を利くな……じゃあ例えばどんなものがあるというんだ?」

高梨は脅すような目で愛する女を睨む。

「例えばこれです!!」

花純は封筒に入った原稿を取り出し、高梨に渡した。

「『快楽の奴隷』? なんだ、これ?」
「私の書いた作品です!! 官能小説家を愛するヒロインが自らの身を犠牲にして作家の創作に協力する話なんです!! 素敵でしょ?」

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