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快楽の奴隷
第5章 二人責め
「そ、そんなこと聞いてませんっ……」
「そりゃ言ってないからな。嫌か? 嫌なら今日はおしまいだ」

高梨は口許だけで笑いながら花純の唇を親指の腹でなぞる。

「いきなりそんなこと言われてもっ……」
「確かに雰囲気がないな。失礼した。君は大切な私の愛読者であり、被験体なのだからね……」

執事は目の前で行われているやり取りなど聞こえてないかのように、ドリンクを注ぎ終えるとソファーの後ろへと下がっていく。

「それじゃまずは俺の執筆秘話でも聞かせてやろうか? それとも文壇の暴露話の方がお好みかな? なんでも質問してみろ」

乾いた笑い声を立てながらグラスを煽り、朱色のアルコールを飲み干した。
質問などする気分になれない展開だが、このままなし崩し的に二人の男性にいたぶられるよりはましだ。

「あの……私あまりよく知らないのですけど……作家の先生というのはそんな儲かるものなんですか?」
「いきなり金の話か。女性っていうのはやっぱり金銭感覚に鋭いものだな」
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