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虹色の楽譜
第5章 青
ここ、数週間、ロクに会えなかった間に、
奏くんは大人になっていた。
ピアノの前に座った時だけ
大人の顔をした、ハタチの青年だったのに。
ピアノの前から離れても大人の顔をするようになった。
「スカラシップは、どこの大学を選ぶの?」
この人は、大人になりかけてる・・・
「スカラは利用しない。教授に了解を得て
正式に辞退するよ」
「なんで!」
「茜さんと離れて、演奏者として続けて行く自信がない」
これは、予想してなかったな。
こんな風に言ってくれるとは思いもしなかった。
嬉しい半面、怖くなる。
そう。はじめのころ奏くんとデートした時と同じ感情だ。
私の存在、私の返事1つで
この子の人生が大きく変わってしまう。
始まったばかりのこの関係を
終わりにしてしまうのは簡単なようで苦しかった。
私は、4つ下の将来の見込みもない大学生に本気で惚れているらしい。
毎日受付に座って、誰が出世頭なのか冷めた目で観察していた。
エリートと結婚さえすれば
金銭面で苦労さえしなければ
それは幸せだと思っていた。
そんな私が、コンクールで優勝したとはいえ
将来の見えない音大生に本気になるとはね。
自分で自分の感情にビックリだ。
奏くんは大人になっていた。
ピアノの前に座った時だけ
大人の顔をした、ハタチの青年だったのに。
ピアノの前から離れても大人の顔をするようになった。
「スカラシップは、どこの大学を選ぶの?」
この人は、大人になりかけてる・・・
「スカラは利用しない。教授に了解を得て
正式に辞退するよ」
「なんで!」
「茜さんと離れて、演奏者として続けて行く自信がない」
これは、予想してなかったな。
こんな風に言ってくれるとは思いもしなかった。
嬉しい半面、怖くなる。
そう。はじめのころ奏くんとデートした時と同じ感情だ。
私の存在、私の返事1つで
この子の人生が大きく変わってしまう。
始まったばかりのこの関係を
終わりにしてしまうのは簡単なようで苦しかった。
私は、4つ下の将来の見込みもない大学生に本気で惚れているらしい。
毎日受付に座って、誰が出世頭なのか冷めた目で観察していた。
エリートと結婚さえすれば
金銭面で苦労さえしなければ
それは幸せだと思っていた。
そんな私が、コンクールで優勝したとはいえ
将来の見えない音大生に本気になるとはね。
自分で自分の感情にビックリだ。