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揺れる恋 めぐる愛
第5章 光明と暗黒
しばらくそうやって震えながらしゃがんだまま……

怒りなのか悲しみなのかその両方の感情が胸に渦巻いた。


どのくらい時間が過ぎただろう?

立ち上がり、これが現実ではないことを願っても、

視界に見えたのは『入居者募集』の紙。

やっぱり……

先輩はもうここにはいない。

もう一度祈るような思いで携帯を持ち直しリダイアルを押したが……

「おかけになったでんわはでんぱのとどかない……」

とアナウンスが流れ呼び出しすらしなかった。


そして少し冷静になってみてわかるのは、おそらく新幹線はなく……

先輩もいないのでここに泊まることはできない。


勢いだけできたが、いつまでもそのままそこに立っているわけにもいかず、

しばらくどうしようかと考えた。


携帯で取りあえず昔の友達にメールをしてみた。

大学時代の友達。私がこんな時間にメールしてみようと思えるのは……

あいつしかいない。

でもすごく久しぶりで、返事があるだろうか?


不安に思う時間は以外にも長くなかった。

[どうした?]

シンプルな応えは、真帆らしかった。

[今から迎えに来て?]

と頼むと

[どこだ?]と返事。

こんな夜遅くに迎えを呼ぶメール。

先輩との食事の場所を紹介してもらった以降連絡していない。

ましてや1年近く会っていないのに何も変わらない真帆の答えに……

初めて涙が零れた。
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