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揺れる恋 めぐる愛
第1章 躰と心
車が信号で止まり、口元を歪ませながら主任が私に向けた一瞬の視線に、
ゾクっとするものを感じた。
営業スマイルじゃない主任の微笑みは、澱みを纏い寂しげに見えた。
会社で見たことのない主任。昔、どこかで感じたことのあるこの空気に
飲まれそうになる……
慌てて視線を逸らし首を何度も振った。
間もなく車が走り出して
「これじゃまるで口説き落しているみたいだな。
元々希望じゃない外回りに連れまわされるだけでも不快だろうに……
すまなかった」
「いえ。ご期待には沿えなくてすみません。
でも本当にいい勉強させてもらってます。ありがとうございます」
「嫌な気分にさせたはずなのに、ありがとうなんて言われたら
もう何も言えなくなるじゃないか……」
お互い沈黙したまま、車は加速して目的地方面に走る。
「藤木君?もうじきだが……
家のそばまで行こうか?」
「いえ駅で大丈夫です。近くにある郵便局にも寄りたいので……」
「そうか……
わかった」
主任は親切心で言っているのはわかっていたが、
予定通り最寄駅まで送ってもらった。
上手く言えないけど……
自宅のそばまでは来てほしくなかった。
駅のロータリーに車が入り止まる。
「お疲れ様です。わざわざありがとうございました」
「お疲れ様」
私はすべてを断ち切るように車を降りた。
ゾクっとするものを感じた。
営業スマイルじゃない主任の微笑みは、澱みを纏い寂しげに見えた。
会社で見たことのない主任。昔、どこかで感じたことのあるこの空気に
飲まれそうになる……
慌てて視線を逸らし首を何度も振った。
間もなく車が走り出して
「これじゃまるで口説き落しているみたいだな。
元々希望じゃない外回りに連れまわされるだけでも不快だろうに……
すまなかった」
「いえ。ご期待には沿えなくてすみません。
でも本当にいい勉強させてもらってます。ありがとうございます」
「嫌な気分にさせたはずなのに、ありがとうなんて言われたら
もう何も言えなくなるじゃないか……」
お互い沈黙したまま、車は加速して目的地方面に走る。
「藤木君?もうじきだが……
家のそばまで行こうか?」
「いえ駅で大丈夫です。近くにある郵便局にも寄りたいので……」
「そうか……
わかった」
主任は親切心で言っているのはわかっていたが、
予定通り最寄駅まで送ってもらった。
上手く言えないけど……
自宅のそばまでは来てほしくなかった。
駅のロータリーに車が入り止まる。
「お疲れ様です。わざわざありがとうございました」
「お疲れ様」
私はすべてを断ち切るように車を降りた。