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揺れる恋 めぐる愛
第1章 躰と心
「藤木君、このままウチに来ないか?」
ハンドルを握る主任が静かに話し始め……
ドキリと胸が跳ねた。いつも車ではたわいもない話しかしないのに
何を突然言い出すのだろう。
「ウチ?」
「そう。営業……
続けてみないか?」
「あぁ……」
何て勘違いをしたのだろう……
苦笑いしながら心の揺れに気づかれたくなくて
頭ごと視線を外し車窓の街並みを眺める。
「主任とご一緒は有意義で勉強になりますが、私には荷が重すぎます……」
「そんなことないと思うが……」
「そうなんですか?」
「実はうち希望じゃない新人を連れ回るは久々なんだ……
見込みのない者にお世辞でこんなことは言う必要はないだろう?
人をさらりと受け入れて、相手の持つものを見極める能力(ちから)。
充分やっていけると思うんだがな……」
「そんな……
ほめ過ぎですよ。
主任みたいに顧客を和ませる笑顔で成績を上げながら
そつなくこなし続けるのは……
私には無理です。
今でもただ後ろをついて歩いているだけじゃないですか?
私なんて……」
チラリと主任を盗み見ると眉根を寄せ表情を曇らせていた。
「俺は藤木君が思うような人間じゃない。
笑顔は所詮仕事をうまく運ぶため、人の心を開く武器。道具だ。
この頃君との外回りが思った以上に楽しいから、
ついこのまま一緒に仕事がしてみたいだけなんだがな……」
ハンドルを握る主任が静かに話し始め……
ドキリと胸が跳ねた。いつも車ではたわいもない話しかしないのに
何を突然言い出すのだろう。
「ウチ?」
「そう。営業……
続けてみないか?」
「あぁ……」
何て勘違いをしたのだろう……
苦笑いしながら心の揺れに気づかれたくなくて
頭ごと視線を外し車窓の街並みを眺める。
「主任とご一緒は有意義で勉強になりますが、私には荷が重すぎます……」
「そんなことないと思うが……」
「そうなんですか?」
「実はうち希望じゃない新人を連れ回るは久々なんだ……
見込みのない者にお世辞でこんなことは言う必要はないだろう?
人をさらりと受け入れて、相手の持つものを見極める能力(ちから)。
充分やっていけると思うんだがな……」
「そんな……
ほめ過ぎですよ。
主任みたいに顧客を和ませる笑顔で成績を上げながら
そつなくこなし続けるのは……
私には無理です。
今でもただ後ろをついて歩いているだけじゃないですか?
私なんて……」
チラリと主任を盗み見ると眉根を寄せ表情を曇らせていた。
「俺は藤木君が思うような人間じゃない。
笑顔は所詮仕事をうまく運ぶため、人の心を開く武器。道具だ。
この頃君との外回りが思った以上に楽しいから、
ついこのまま一緒に仕事がしてみたいだけなんだがな……」