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揺れる恋 めぐる愛
第6章 宣告と告白
そんなある日の週末、本音を言えばまだ外に出る気分じゃなかったけど……

母の誕生日がもうすぐだったことを思い出した。

去年はバタバタとして何もしていなかったからと、

近くの駅ビルまで、花の好きな母に鉢植え見るために

財布だけ持って出かけた。

服や雑貨も春から夏に向けて明るい色調に変わり……

ビルの店は華やいでいた。

でも、ウインドショッピングする気にすらならず……

真っ直ぐ目的のフラワーショップへ向かう。


店先でどれにしようかと色とりどりの花を見て回った。

程なくしてこの花にしようと思い、その鉢を持って店内へ入ろうとすると、

カウンター前に立っている男性を見て息が止まるかと思った……

主任だった。


主任が私の前に突然現れることは、ある意味日常だったが、

このあたりでその姿を見かけたのはこれが初めてだった。

男性が花屋に買い物なんて何があったんだろう?

こちらから声をかけるのもなんか癪なので、

立ち止まって物陰に隠れその姿を遠目に眺めた。


主任は小ぶりのブーケを店員から受け取りながら、

熱心に世間話をしている。

話の途中でハニカミながら、頭を掻いて恥ずかしそうなしぐさをする。

その姿に……

違和感を覚えた。

そして、何よりその花は忘れもしない黄色の鮮やかな花……

ミモザアカシア。

あの毒々しい黄色の花に再びまみえることになろうとは……
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